ランチョンセミナー④
平成30年1月21日(日)11:50~12:50(孔雀の間)
共催:日本アキュレイ株式会社


『トモセラピーがもたらす新たな恩恵』

原三信病院 福山 幸秀

 TomoTherapyは,強度変調放射線治療を得意とする装置で同一の加速器を使ってMV-CTの撮影も可能である.MV-CTにも関わらずファンビームのためコーンビームに比べて分解能に優れ,精度よく画像誘導放射線治療も行える.従来のリニアックとは,全く違う形状(CTに似た形状)をしており,かなり斬新なタイプの放射線治療装置である.照射方法は,ヘリカルCTと同じ原理でガントリーが回転しながら,ベッドが移動していき,らせん状に照射を行っていく.360°回転51方向からの照射であり,線量集中性に大変優れている.標準的なリニアックとは異なる照射法のため,従来できなかったような照射が可能になった.例えば,照射範囲が体軸方向に135cmと長いため,全脳全脊髄照射ではつなぎ目を作ることなく一連での照射が可能である.多発性骨転移に対しては,複数個所の治療を一度に治療することが可能で患者にとっても放射線技師にとっても負担が少なくて済む.また回転しながら照射を行うため,ドーナツ状の線量分布を作成することができ,従来では脊髄の耐用線量を越えてしまうために難しかった再照射も可能になった.
 私がTomoTherapyを使用するにあたり最も有用であると思えるのは,全身照射(Total Body Irradiation:TBI)である.TBIは各施設でいろいろな工夫を凝らして行われてきたと思うが,セットアップや肺などに対する密度補正の難しさで思うような照射ができなかったのが現状ではないだろうか.しかし,TomoTherapyによってその問題が大きく解消された.まずCTの画像を利用してRTPSによる治療計画が可能になった.肺炎対策のために作成していたフィルターもいらなくなり,線量制限が必要とされていた水晶体や腎臓の線量をコントロールできるようになった.何より妊娠を希望される女性患者に対して卵巣に対する線量制限を行えるので妊孕性の維持への可能性が広がった.骨髄移植の必要な患者にはフルドーズ(12Gy/6Fr)の照射を行うのが理想だが,体力的に劣る高齢者等には負担が大きすぎるためにTBIを行わないか,ミニ移植(4Gy/2Fr)が行われる.しかし今後はTomoTherapyによるTBIによりフルドーズの治療を行える対象が増えるのではないかと期待する.
 TomoTherapyは,患者にだけでなく我々診療放射線技師にも恩恵をもたらす.
 診療放射線技師の業務には患者への照射以外にも品質管理という重要な業務がある.標準的なリニアックには膨大な品質管理項目があり我々には大きな負担となっていたが,TomoTherapyではCTのディテクターを利用し簡単に装置の管理を行うことができる.またTomoTherapyは故障の多い装置との印象が強いと思うが当院の昨年の実績はダウンタイム0(ゼロ)である.
 以上のように,TomoTherapyは,患者にも我々放射線技師にも新たな恩恵をもたらしてくれる装置である.その一部を本セミナーでご紹介する.