2020年度 研究助成(英文校正・論文)決定のお知らせ(案2)

 

2020年11月16日

会員各位

公益社団法人 日本放射線技術学会 近畿支部
支部長  福西 康修
表彰委員長  田ノ岡征雄

2020年度 研究助成(英文校正・論文)決定のお知らせ

 日本放射線技術学会 近畿支部 研究助成(英文校正・論文)申請につきまして,研究助成に関する細則第6条により,表彰委員会で審査の上,以下2件の助成が決定しましたので報告します.

1.研究助成(英文校正):英文校正費用の助成
・申請者:兵庫県立がんセンター  重永 裕 氏
・申請額:26,828円
・助成額:20,000円(1件につき2万円以内)
・論文題名:
   Combined modified-Dixon and PROPELLER method with low refocusing flip angle for  
   contrast-enhanced fat-suppressed T1-weighted MRI: A prospective cross-sectional study
・著者名:Yutaka Shigenaga, Daisuke Takenaka, Takayuki Ishida
・掲載雑誌名:Magnetic Resonance Imaging
・掲載号(文献表記):
   Shigenaga, Y., et al. (2020). Combined modified-Dixon and PROPELLER method with low
   refocusing flip angle for contrast-enhanced fat-suppressed T1-weighted MRI: A
   prospective cross-sectional study. Magnetic Resonance Imaging, 72, 143-149.
・論文要旨(和文):
  【目的】
   低refocusing flip angle(RFA)を用いたmDixon法PROPELLER法併用シークエンスの提案.また, 本シークエンスが臨床において頭頚部の造影脂肪抑制T1強調画像を問題なく得ることが出来るかどうかの検証.
  【方法】
   まず,健常ボランティアの脳でT1強調画像を取得するために最適なRFAを検証した.次に臨床症例50例において,体動・水脂肪分離エラー・コントラスト比 (CR)・包括的な画質の4つについて従来法であるmDIXON法と比較し評価を行った.放射線診断科医師2名による独立視覚評価によって,体動・水脂肪分離エラーを4ポイントスケール (1, unacceptable; 4, excellent),全体的な画質を5ポイントスケール(1, substantially inferior; 5, substantially superior)で評価した.CRは造影された病変と造影されていない筋肉にROIを設定し算出した.
【結果】
   最適なRFAは40°であった.体動評価ではスコアが3か4であった割合は,従来法では83% (observer-1,42/50; observer-2,41/50),提案法では 99% (50/50; 49/50)であった(p<0.001; p<0.001).水脂肪分離エラーの評価ではスコアが3か4であった割合は,従来法では100% (50/50; 50/50),提案法では97% (48/50; 49/50)であった(p < 0.001; p = 0.02).包括的な画質評価では85% (39/50; 46/50)の症例において 提案法が従来法と比較して同等以上であると評価された.CRは提案法の方が有意に高かった[2.27 (1.99–2.97) vs. 2.08 (1.88–2.42), p < 0.001].
【結論】
  提案法は体動アーチファクトの少ない造影脂肪抑制T1強調画像を安定して得ることができ,全体的な画質も従来画像より向上した.

 

2.研究助成(論文):論文作成に関連した費用の助成 
・申請者:近畿大学病院  松本 賢治 氏
・申請額:550AUD(約42,000円)
・助成額:20,000円(1件につき2万円以内)
・論文題名:高速回転Oリングリニアックと汎用リニアックにおけるVMAT治療計画の比較
・著者名:松本 賢治, 大塚 正和, 田村 命, 門前 一, 奥村 雅彦
・掲載雑誌名:日本放射線技術学会雑誌
・掲載号(文献表記):
   松本賢治, et al. (2020). 高速回転Oリングリニアックと汎用リニアックにおける VMAT 治療計画の比較. 日本放射線技術学会雑誌, 76(4), 339-345.
・論文要旨:
【目的】
  高速回転Oリングリニアックでは,ガントリ回転速度,MLC形状,MLC駆動速度など様々な改善が進んでおり治療時間の短縮が可能となってきているが,治療計画等における汎用機との優劣性を評価することは必要である.本研究ではHalcyonを用いてAAPM TG-119推奨のC-shape,multi-target, 前立腺およびH&NにおけるVMAT治療計画をそれぞれ作成し,TrueBeam(TB)との線量分布の比較検討を行った.
【方法】
  4種類の治療計画において,Halcyon:1〜4-arc,TB:1〜3-arcのVMAT治療計画をそれぞれ作成した.最適化計算の条件は,全ての計画で同一の値を用いた.計算結果におけるターゲットおよびリスク臓器(organ at risk:OAR)の線量指標を比較検討した.またMU値および照射時間の比較も行った.
【結果】
  Halcyonの1-arcを用いた治療計画は全ての対象においてTBよりも劣る計算結果であった.C-shapeのouter targetにおけるconformity index(CI)はHalcyon (1-arc:1.242,2-arc:1.202,3-arc:1.198,4-arc:1.181),TB (1-arc:1.247,2- arc: 1.211,3-arc:1.211)となりHalcyonの計算結果が優れていた.C-shapeのcoreに対する D5 (Gy) は,halcyon (1-arc:23.29, 2-arc:21.01, 3-arc:20.64, 4-arc:20.47), TB (1-arc:24.04,2-arc:22.94,3-arc:23.04)となり,同様にHalcyonが優れていた.計算MUは,Halcyonの方がTBに比べ優位に少なく,照射時間の短縮が可能であった.
【結語】
  全ての治療計画において,Halcyonを用いたVMATの計画は2および3-arcを採用する事によって,TBと同等もしくは優れた計算結果を得ることが可能である.また,照射時間の短縮も実現することが可能である.

以上