ご挨拶
「私が目指す近畿支部」
〜聴こえない声と開放性〜
近畿支部支部長
南部秀和(近畿大学病院)
白石順二代表理事に指名いただき,2021年度より福西康修支部長の後任として近畿支部支部長の任に就かせていただきます,近畿大学病院の南部秀和です.諸先輩の先生が築いてこられた,近畿支部運営の重責に押しつぶされないよう,しっかり務めて参る所存です.どうぞ宜しくお願いいたします.
私は,2005年に学術委員にお声がけをいただき,2007年から学術担当理事,2015年から副支部長を3期6年努めさせていただく機会を得ました.近畿では,1995年の阪神・淡路大震災や2005年のJR福知山線脱線事故など,これまで経験したことのない自然災害や目に余る人為的なミスで多くの人の命が失われた閉塞的な状況にありました.しかし,われわれの放射線技術の歴史を辿れば,装置の性能や薬剤の効能はもとより,撮像技術や照射技術が画期的に飛躍向上して,医療安全の機運も高まり,安全で安心して患者の期待に応えることができる世の中に大きく前進していると感じています.2015年度からの副支部長の職務では,総務担当として理事会運営に微力ですが関わらせていただくことができました.この期間に表彰委員会や大会開催委員会でも委員として関わらせていただき,平成最後の2018年に第62回学術大会(奈良)の大会長を務めさせていただきました.翌年,令和最初の2019年には本部の第47回秋季学術大会(大阪)にて福西康修大会長のもと,実行委員長として,どこまでも付き添ってくれる近畿支部の委員とともに準備させていただきました.今でも又野嘉枝子委員(現総務委員長)手作りのくいだおれ太郎の衣装を着て,宴会場を駆けずり回っていたことやタクシーの誘導,吉本興業所属の,もりやすバンバンビガロさんの裏営業を表営業に変えたことが記憶に新しいところです.この間の16年で多くの支部関係者,講師の先生,企業の方を含めて沢山の方々と協議したり,謝罪したり,笑ったり,汗を流したり,労を労っていただいたり,発奮したり,数えきれないほど祝杯をあげて豊かな人生経験をさせていただくことができました.当初は,学術委員を8年間務めさせていただけましたから,自分の専門分野(放射線治療関連)以外の知識や情報など,卒後教育を事業に関わる上で自然にさせていただきましたし,講師の先生との結びつきは,何にも変えられない貴重な財産になっています.また,以前に巻頭言(第22巻1号2016年6月1日発刊 )で取り上げた内容の“「サイロエフェクト」に陥らない”“開放性を持ち合わせた「人種のサラダボール」に身をさらすこと”にハードルが低い仲間は宝そのものです.
さて,私が目指す近畿支部については,先日開催した2021年度第1回理事会において役員の方々にお話させていただきました.「支部会員の満足度向上 −個では成し得ない物事を動かす−」をテーマとして,公益性を保ちつつ会員のために支部事業活動を通じて満足度を向上して参りたい所存です.そのためには,石田隆行監事と福西康修監事のご指導をいただきながら,失敗を恐れず,即時性を強化して,近畿支部組織だから着手できる取り組みを通じて皆様のご意見に傾聴して前進していきたいと思います.
昨年度は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,前半に準備にかかれなかった事業を中止いたしましたが,インターネットを通じたオンデマンド方式の映像配信やWeb会議室機能を使った事業展開の経験を積みました.これまで数年にわたって難渋していました地域活性化の取り組みに,大きな推進力になりました.しかし,支部に限局しない発信力には,事業展開をどう活用すべきか皆さんのご意見を伺いたいところです.
事業を中止している最中,水面下で新規事業としてYouTube(https://www.youtube.com/watch?v=wSv6x0GcsUU&list=PLF8xzH2aioTqc1GhpgeQGkepjw4l5VVpP)を通じて不特定多数の方に情報発信を行う取り組み(動画チャンネルre:Constructionシリーズ)は,すでに発信(放射線治療の3動画)しつつ,MRIの収録を終え,現在進行形です.また,研究教育委員会を新設して,近畿を中心として研究成果が記憶に残るような事業展開ができればと欲を出しています.近畿支部は,ホームページや,年間20回程度のメールマガジン(2500通/回以上)配信を通じて,即時性のある情報提供を行なっています.支部雑誌は,オンラインジャーナルとして安定的に年3回発行しつつ,公益性を高める「プレミアム」(https://jsrtkinki.jp/premium)や,すでに発刊した記事の「レビュー」(https://jsrtkinki.jp/レビュー)などの編集や情報発信も行っています.
支部会員の大多数を占める診療放射線技師の方には,診療放射線技師会とも連携を模索しつつ対話を強化し,皆様の利益に供するよう活動しているところです.また,近畿では地域の研究会や技師養成校との連携も継続的に実施して参ります.そのためには,皆様の声と学会費を原資としてバランス感覚を失わないよう任期いっぱい取り組んで参ります.
対面で事業展開がままならなくなり,臨場感や肉声,他者の意見交換が聴こえにくくなりました.セミナー開催後に講師の先生を囲んだ激論や慰労もできずにいますが,聞こえない声(声を発していただけない,もしくは事業に参加していただけない会員の方にもご意見)をいただけるよう支部事業報告会をホームページで開催するなど準備を進めています.
前途多難な状況を好機として,時機を逸しないよう,皆様(会員と役員)の力をお借りししつつ,個では成し得ないチカラで物事を動かしたい所存です.今後ともご指導,ご鞭撻を賜りますよう,宜しくお願い申し上げます.
2021年5月15日
国際宇宙ステーション「きぼう」を見上げつつ感染禍の奈良にて